標準機能では対応できなかったアルバイトの有給休暇管理機能をDream21に追加
有給消化が義務化される!?
厚生労働省は平成28年4月より、年 10 日以上の有給休暇が付与される従業員には、会社がそのうち 5 日分について時季を指定して与えるよう「義務化」する 方針です。
この制度が実施されると、管理職を含めた、年10日以上の年次有給休暇が付与される正社員・パート・アルバイトに対して、最大5日分の有給休暇を時季を指定して与えなければならないことになります。また、中小企業も義務化の対象となり、社員の有休取得状況を正確に把握するために、年次有給休暇の管理簿をつくることが義務付けられるようにもなります。尚、未消化の社員が多い企業には罰則規定を設けるとされています。
今回ご紹介する事例のお客様は、外食産業(飲食チェーン店)のお客様ですが、この業界の特徴として従業員はパート・アルバイトが中心であり、このお客様でも約3000人を雇用されています。
パート・アルバイトはいわゆる正社員(週所定労働時間が30H以上、週所定勤務日数が5日以上)基準を下回る場合が多く、実態として所定労働日数・時間数を定めていない場合も多くあります。
今までは、厳密な有給休暇の管理簿等は備えておられなったのですが、この機会にシステムによる有給休暇管理を導入される事になりました。
有給休暇の付与は2通り
所定労働時間が、週30時間以上、週5日以上または年間217日以上で設定されている場合、以下の表で有給休暇が付与されます。
付与するタイミングは、入社日が基準ですが、全社一斉に付与する方法もあります。
パート・アルバイトなど、所定労働時間が上記の基準を下回る場合や、所定労働日数・時間数を定めていない場合は、過去1年間の勤務日数を所定労働時間とみなして比例付与基準で有給休暇を付与します。
有給休暇の付与日数の判定
アドオン開発のポイント
アルバイト・パートの有給休暇比例付与基準に対応
上記の通り有給休暇付与を計算するには、「所定労働日数・時間数」を基準としますが、Dream21の標準機能では給与体系毎に一意の所定労働日数・時間数の設定をする為、個人毎に所定労働日数の設定ができません。
一般的な正社員はそれで問題ありませんが、パート・アルバイトはそもそも所定労働日数の取り決めがないので、所定労働日数が個人毎に異なり、パッケージの仕様では対応できませんでした。
今回、個人毎に所定労働日数を過去の勤務日数から算出し、それを所定労働日数として比例付与基準による有給付与を行う外部プログラムを作成し、Dream21の従業員給与情報に自動で登録する処理を追加しました。
アルバイト・パートの有給取得時の手当支給額の自動計算に対応
パート・アルバイトが有給休暇を取得した場合、取得日数分の賃金を支給する必要があります。
その場合の賃金は、上記にあるように過去の実績から平均賃金を求めて算出します。
今回は、既に店舗で勤怠情報を入力し、Dream21給与モジュールにデータを転送するアドオンを導入頂いていましたので、この仕組で入力された有給取得日数を使用し、勤務実績を給与明細に転送するタイミングで平均賃金を計算し、支給金額を計算、支給項目「有給消化」に転送する仕様としました。
まとめ
今回ご紹介したお客様は、パッケージの標準機能が仕様出来ない為、有給消化日数のみを手作業で管理され、残日数については問い合わせの都度計算するという状況でしたので、導入時に従業員毎の正確な有給残日数がわからず、過去の勤怠情報から再計算するプログラムを別途用意し、データをセットする作業を追加した事で、正確な有給残日数を把握できるようになりました。
本アドオン導入により、パッケージでは対応できなかったパート・アルバイトの有給付与日数を、個人毎の所定労働日数の算出設定により比例付与基準による自動有給付与が実現できました。
同様に有給消化により発生する手当の計算・入力処理も自動化でき毎月の業務効率を大幅に向上させる事ができました。
今後は、有給台帳を活かして有給消化義務化に対応した計画的な有給消化指示を実施される予定です。