パッケージ棚卸機能を自社の作業フローに合うように改造
棚卸作業の意義
在庫高は売上総利益を算出する上で大変重要な要素です。
売上総利益は「売上高-売上原価(=期首棚卸高+仕入高-期末棚卸高)」で計算されますので、仮に期末在庫が実際より
多く評価されると売上原価が実際より少なく評価される事になり、売上総利益は大きくなります。
期末在庫が実際より少なく評価されると逆に売上総利益は小さくなります。
業務パッケージを導入している場合、商品在庫は売上数と仕入数から計算して帳簿上の在庫数は概ね把握できます。
しかし、実際は出荷ミスで行方不明になったり、店頭で万引きされたりして現物在庫が帳簿通りにならない場合があります。
また、伝票入力に漏れがあったり、間違いがあるとやはり、帳簿在庫と現物在庫の数量に差が発生します。
棚卸は、在庫商品が帳簿通りに存在するかを確認し、帳簿在庫を正しく維持する為に欠かせない作業です。
パッケージ棚卸機能の足りない所….
PCA商管を使用して帳簿上の在庫を管理している場合、棚卸作業は一般的に以下の様な手順で実施されます。
1) 棚卸調査表の出力……………………….. 倉庫別に帳簿上の商品在庫数の一覧が印刷されます。
2) 実棚……………………………………….. 調査表に実際の商品数量を記入します。
3) 調査……………………………………….. 帳簿と実棚卸の差異が発生した場合、原因調査を行います。
4) 棚卸調整伝票の作成(帳簿在庫の調整). 調査の結果在庫差異が確定したら、帳簿を実棚に合わせる為、調整伝票を入力します。
5) 棚卸表の出力(確認)…………………… 棚卸表を出力し結果を確認し、確定します。
PCA商管Xの入出力例
【棚卸調査表】
【在庫調整伝票の入力】
【棚卸表】
パッケージ機能の問題点
今回のお客様では、パッケージ標準機能による棚卸作業の問題点として、
1.帳簿在庫と実棚在庫の差異の確認のための差異を出力できる機能がない
2.棚卸をハンディーターミナルを使用して実施するため、ハンディーのデータの連携が必要。
3.商品アイテムが10,000を超える為、棚卸調整伝票を手入力するのに手間がかかる。
といった機能不足を感じておられました。
要件に対して、過大な改造費用を避けるため、3点ある要件を1つの処理で対応できるプログラムを作成し外部プログラムとして追加しました。
商管Xの在庫情報を使った棚卸差異表のアドオン開発
1.ハンディーターミナルの実棚データは予め汎用データ(csv)で出力して、任意のフォルダに保存しておいて頂く方法を選択しました。
2.ハンディーターミナルの実棚データを読み込み、PCA商管Xの在庫情報を読出して突合し、差異を計算してEXCELに出力します。
この処理は何度でも行う事ができるので、棚卸後の差異の原因調査の結果、
・入力漏れのあった伝票の追加入力など、帳簿データの修正
・実棚の読み間違い等による実棚データの修正・追加
を行った後、再度差異の確認が行えるようになり、より精度の高い棚卸作業ができるようになりました。
また、課題であった棚卸調整伝票の入力は、商管Xの標準機能である「実在取込」機能を使用し、棚卸差異表の商品コードと実棚数を取り込む事で、入力作業を撤廃しました。
まとめ
棚卸は、とかく商品を数える事に注力しがちですが、大切なのは「その後」です。
冒頭に書いたように、在庫は売上総利益を決定する上で重要な要素ですので、いかに正確に棚卸を行うかが肝心です。
昨今、経営環境のスピード化に伴い、月次決算を迅速に確定する必要性も高くなっています。
いかに事務処理の時間を短縮し、精度の高い月次決算を行うか?コンピュータ有効利用のポイントでもありますね。